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ニューヨーク・タイムズスクエアの浄化・再生、ジュリアーニ市政に学ぶ歌舞伎町の再生へのヒント [まちづくり]

歌舞伎町のまちづくりの会議などで、よく例としてとりあげられるのがジュリアーニ市政におけるタイムズスクエアの浄化・再生の話です。なのでタイムズスクエアの話を。

おそらく誰もが見にした事のある、I love NY のマーク、ニューヨーク州にヒュー・キャリー氏が1975年に誕生した折、破産の危機に直面していた州の財政を観光振興によって立て直すことを発案し、そこで巨額な予算を投下、メディアを大胆に活用するシティ・セールスキャンペーンを実施、その際に生まれた有名なシンボル・ロゴです。
いまでもTシャツや文房具、州・市のパンフレットやみやげ物など多くに使われています。当時NYといえば、汚い・危険といったイメージが浸透していたわけで、まして観光地としてはまるで認知されていなかった。しかし、メディアを巻き込み、地域が行政と一体になって街を創って行くという非常にエネルギーを必要とする作業においてこういったシンボリックなロゴマークの存在は牽引力を産む大きな効果を生んだと思えます。
また既に設置されていたフィルム・コミッションが多くの映画撮影をNYに誘致することに成功、地域のアピールをいろいろ中たちでアピールすることでNYが観光地として認知され、州・市は徐々に活性化していったわけですが、とはいえ、多くの問題も現実に山積みされていたのも事実です。
1994年に市長になったルドルフ・ジュリアーニ氏ですが、その前の年、選挙に立候補する際に3つの公約を掲げていました。
【1】治安の向上(安全な街の確立)  -犯罪の防止、生活の質の向上
【2】行政改革と経済活性化       -市政府の規模の縮小と、民間雇用拡大のための経済開発
【3】学校教育の向上           -市教育長などの権限強化による秩序の乱れた公立学校改革
92年当時のNY市といえば、年間の殺人事件発生数で2000件弱、強姦・強盗・障害・家宅侵入・窃盗・自動車泥棒を加えた7つの重犯罪全体では40万件に達しており、いかにも犯罪多発都市といったイメージが強かった。そうは言ってもNY市はそれでも世界最大の活力のある都市のひとつであったのは間違いないが、犯罪多発都市といった現実とイメージは地域への投資を衰退させ、雇用が小さくなり、街の活力を失わせる。失業率や犯罪発生率は上昇し、結果財政負担のみが大きくなっていくという悪循環に陥りかねない。NY市と、そのまま東京都や新宿・歌舞伎町などと比較することは、税制面などの違いなどから一概にはできないが、都市や地域が持つ問題点や解決への試みとしては大いに参考になる件もありそうです。ジュリアーニ市長は、公約に対してある成果を認められ、その後も市長として再選を果たしています。ジュリアーニ市政の政策の基本的な考え方として、経済回復のため、企業に特に重荷になっている商業賃貸税などを中心に各種税制の減免措置を講じることを最優先課題とし、また雇用の確保・増大のために、主要な企業に対して税金免除などの特約を結ぶことで他都市への移転・投資の流失を防止するプログラムの実施、またウォール街を含む経済の中心地であるロウアーマンハッタンに対しては、「ロウアーマンハッタン計画」を策定し特に情報産業の誘致を含めた総合的な支援策を展開してきています。
同時に、起きた犯罪を取り締まることよりも、犯罪発生を未然に防ぐための手立てとして、軽微な犯罪から徹底的に取り締まることが重犯罪発生の抑止力となることで、現在、犯罪多発都市といったイメージを大分払拭することに成功してます。
地域のイメージアップ、減税策によってビジネス面でのNYの企業の競争力を高め、雇用が増大、映画や娯楽産業も活気づき、ニューメディアの首都として名乗りを上げるにいたった、といえます。
かつて、町並みが暗く汚い上犯罪も多発、街全体が混然としているといったイメージが強かったNY市、しかしここ数年、NY市を再訪した観光者は、街がきれいになって安全になったことに一様に驚くと思います。そして、街のあちこちに警備員らしき姿をみかけ、安堵するでしょう。こういった大きな街の変化を支えてきたのは、ここまで書いたように政策によるところが大きいのは言うまでもありませんが、欠かすことのできないもうひとつの側面、BID制度というのがあります。
アメリカ各都市では、非営利団体、いわゆるNPOによって地域主導の商業化・ビジネス街の環境改善や活性化がすすめられており、その中で「ビジネス改善地区(Buisiness Improvement Districts)制度は、現在北米において1200箇所以上組織化され、NYにおける街の変貌も、このBIDの活動によるところが大きいといわれています。

NYにおける代表的なBIDとしては、グランドセントラル駅周辺を活動地区とする「グランドセントラル・パートナーシップ」(Grand Central Partnership Inc.)、ロウアーマンハッタンを活動地区とする「ダウンタウン・ニューヨーク振興組合」(Alliance for Downtown New York)、そしてこれからここに紹介する「タイムズスクエアBID](Times Square BID)などが知られています。

タイムズスクエアBID~

タイムズスクエアエリアの人口は約3万人、ここで働く人たちの数は約26万人、そして30のホテルと37のブロードウェイ劇場、300くらいのレストラン等が立地し、ニューヨークに訪れる年間約4000万人の観光客のうち約8割がこのエリアを訪問すると
いう地域です。しかし、ここも、かつて1970年代以降犯罪が多発する危険地域とされるとともに、売春婦やアダルトショップが軒を連ねる景観だったようです。こういった背景があって、地域をあげて対処するために1992年、地区の大企業、小売業などの中小企業、住人たちによってタイムズスクエアBIDは設立されました。具体的な活動内容としては、治安向上のための警備員のパトロールによる警備活動、街並みを明るくするための路上照明の強化やビルのライトアップ、イルミネーション、軽犯罪者を受け入れての歩道の清掃や落書き除去、街灯やくず入れ、消火栓などの街頭空間の備品の塗装、ホームレス援助・雇用支援・職業訓練と連動しての福祉サービス活動、公的施設の改善事業としてクリエイターによる壁画やアートフェンスの設置、地域経済発展のための提唱、たとえばアダルトショップ出店を抑制するための土地利用規制を提案し、実際に新しい条例制定に結びつき、結果1993年47件あったアダルトショップが19店へと劇的に減少するという成果をうんでいます。また9ヶ国語に対応した観光案内所の設置やマップ・レストランガイドの制作、警備員による道案内などといったサービスの充実、そして大晦日カウントダウンなどの大規模なイベントも開催してきています。
こういった活動が評価され、また市民からの支持もうけ、かつ実績を積み重ねてきた背景にはなにより、地域の住民や企業が、行政の公共サービスに注文をつけるだけの他人任せの行動ではなく、自己負担と自助努力によって街を再生しようとし、官民一体となったパートナーシップによる部分が大きかったようです。
地域・住民、そして企業などから実際に評価されているこのBID活動ですが、もちろんこれだけのことをやってるわけですからそれなりに資金を必要とします。年間1000万ドル近く、あるいはそれを超えての活動予算ということですが、それらは多くが寄付とともに、多くのNPOが直面する財源確保といった問題を、市が代わって地域不動産所有者から特別税として徴収し、それを活動のための交付金としてあてるという部分は、わが国にはないおおきな特徴といえます。
タイムズスクエアBIDの活動やNY再生のプロセスと、たとえば歌舞伎町浄化と街づくりへの取り組みとを比較するとなると、こういった税制面での違い、寄付への国民的意識の違い、地権の差、行政力や財政規模の違いと、その根本的部分での差が多すぎて単純にはいえませんが、この街の浄化と活性化を今後どう実現していくのか、まずI  LOVE 歌舞伎町という想い、これは大事ですね。

歌舞伎町にまちづくり会社(たとえばTMOのようなもの)をつくろうというアイディアがあります。現在歌舞伎町の1・2丁目をまたぎ、イベントなどの地域活性化や外国からの観光客にも対応できる観光案内所、フィルムコミッション的な業務、また先日記事にしたKIHEIプロジェクトのような空き室・白看板対策としての家守事業、地域の公共施設の有効活用(シネシティ広場や大久保公園、区道におけるさまざまな事業を含む)、そして再開発にかかわっていくという組織である。ただ、問題になるのがやはり財政面。上に書いたBIDのようにたとえば歌舞伎町なりの特定地域から固定資産税に上乗せをして、それを区がTMOに交付するようなシステムは現実に可能なのかどうか。どういうプロセスが必要なのか。あるいは出資をどうつのるのか。

もう一つは、歌舞伎町の景観問題。風俗ばかりが目立って前に出すぎてるのを、もう少し減らそうとこれはやっているが、既得権(新風営法施行前からある合法店舗)はもちろん残るだろうし、もっといえば優良な風俗=歌舞伎町の観光資源という部分もある。だがもう少し後ろに下がってもらいましょう、目立たないでください・・・ということをどう具体的にやっていけるのか。タイムズスクエアにしても、いまだにアダルトショップはけっこうある。が、なぜそれが目立たないのか。それは、街の協議会が地域の看板など景観にかかわる権限をもち、たとえば「ハデハデしい」看板でないと設置許可を出さないという。つまり、ポルノや性風俗よりも劇場やレストランを政策的に目立たせる、ということをやり、また強制力も持つ。現在、こういった権限は東京都にあるのだが、これをたとえば特区のように地域の行政なりまちづくり会社に権限を委託させるためにはどのようにすればいいのか。

ここらへんが課題と思われます。

 

 


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コメント 2

catenamas

はじめまして、いろいろと読ませていただきました。
じっくりと、考察されてますね。面白いです。
歌舞伎町が観光地としてさらに進化していくのは素晴らしいですね。私も新宿生まれなので、その想いはわかります。
タイムズスクエアの場合は"観劇"という文化の発信源としての大きな役割もあると思うんですが、歌舞伎町だって、映画館がたくさんありますし、そういうポテンシャルは十分ありますよね。
これからもお邪魔します。
by catenamas (2005-09-21 02:11) 

Tera

初ナイス有難うございます。立ち上げて間もないのでうれしかったです。
映画はどこでも観れます。歌舞伎町ならではという意味で、最近はやっぱり生もの、つまりミュージカルやライブなんかをできるような場所をもっと増やしたいという意見が多くなってきました。中山区長は初の女性区長なんですが、女性が楽しめるような街にしたい、そしてブロードウェイのように変えていきたいとおっしゃってました。
by Tera (2005-09-24 01:59) 

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